第15回 ゴキブリから学ぶ、『人間の偏見』とは?【後編】

【 前編からの続きです 】


蟻田 「『偏見を持っている事に気づく事』でござる」

齊藤 「私はあまり偏見ない方だと思っていますが・・・」

蟻田 「それが大きな間違いでござる」
 
    「ゴキブリは、それを教えてくれるのに、一番良い先生でござる」

    「お主は、なぜゴキブリを恐れる?」

齊藤 「まず光り具合ですね。あのテカテカした黒光りは、カンベンしてほしいです」

    「おまけに、メチャメチャ足が早いじゃないですか!」

    「出現したら、平和な食卓は、一瞬で凄惨な現場になりますよ」

    「あー、思い出しただけで鳥肌立ちました!」

蟻田 「それが平均的な日本人の反応でござろうな」

齊藤 「ええ、だから今、この展示物を見に来る人がいないんだと思いますよ」

蟻田 「しかし、世界中の人がゴキブリを恐ろしいと思っているわけではござらん」

    「一部の国では、ゴキブリを神として見ておる」

齊藤 「でも、病気を伝染させますよね。ゴキブリは」

蟻田 「実際の所、ゴキブリが伝染病を蔓延させる危険は高くない」

    「伝染病で言うなら、蚊が一番危険な昆虫でござる」

    「そもそも、病気がうつるのを恐がってゴキブリを避けているわけではあるまい」

齊藤 「ええ、やはり姿や形がこわいですね」

蟻田 「思えば不思議と思わぬか? ゴキブリは攻撃力は強くない」

    「子どもに人気の、カマキリやカブトムシの方が、
     よほど人間を傷つける力を持っているではないか」

齊藤 「だから、病気や攻撃力という話ではなく、姿や形が恐いんですってば」

蟻田 「それが人の偏見でござる」

    「姿や形が恐いといのは、極めてイイカゲンな理由だとは思わぬか?」

    「ゴキブリの形が恐くて、なぜカタツムリの形が恐くないのでござるか?」

    「カタツムリだって、かなり奇妙な形でござるぞ」

齊藤 「言われてみれば、カタツムリも奇妙な形ですね」

    「でもカタツムリは、絵本でもかわいく描かれているせいか、
     恐がる人って少ないですね」

蟻田 「では、なぜゴキブリの形が恐いのでござるか?」

齊藤 「うーん、そう言われると、理由ってないですね・・・」

    「親も含め、みんな恐がっているからですかね?」

蟻田 「拙者は、それを偏見だと思っておる」

    「お主らはゴキブリに対し、“恐がる理由がなく恐がっておる”でござる」

    「お主、エビフライは好きか?」

齊藤 「はい、大好きです!」

蟻田 「エビも、広い意味で言えば、虫の仲間でござる」
     (節足動物という仲間に入ります)

    「エビをよ~く見てみよ。どっからどう見てもブキミな蟲でござろう?」

齊藤 「確かに、蟲の形ですね・・・。 今まで考えた事もなかったですが」

蟻田 「エビに関して言えば、お主が子どもの時、親が美味しそうに食べていたから、
     お主も今、美味しく食べているのでござろう?」

    「タコなんかも、いい例でござる」

    「アメリカ人の多くは、タコはブキミなので食べないでござるぞ」

齊藤 「タコも言われてみれば、ブキミな形ですよね」

蟻田 「ゴキブリ、エビフライ、タコで説明したように、
    “文化”というものは、人に強烈な偏見を与えているでござる」

齊藤 「言いたい事はわかりましたが、やっぱりゴキブリを好きにはなれないです」

蟻田 「別に好きになれとは言っておらぬ」

    「最初に言ったであろう?
    『偏見を持っている事に気づく事が人間の壁』であると」

齊藤 「『偏見を持つな』とは言っていないという事ですか?」

蟻田 「さよう、偏見をなくす事は、お主ら人間ごときに、まだまだレベルが高すぎる」

    「だから、まず、『自分には強い偏見がある』という事を
     自覚する事から始めるのがよかろう」

    「たとえば、『最近の若者は、根性がない』とか、
     『コイツは仕事ができない』とかも、偏見でござろう」

    「偏見は便利なのでござる。 『俺の部下は仕事ができない』と、
     割り切ってしまえば、部下に対して、『仕事ができない奴ら』
     という前提で接してしまう」

    「しかし、そうして簡単に分けると、  
     逆に見えなくなる部分がたくさんあるでござる」

齊藤 「部下の特性を見抜けなくなるという事ですか?」

蟻田 「うむ。 国語が得意な奴に、算数をやらせても仕方がなかろう」

齊藤 「たしかに」

蟻田 「『ゴキブリは害虫で気持ちワルい!』という偏見を持てば、
     ゴキブリの良い面が見えなくなる」

   「たとえば、
    『死肉などを分解してくれる、地球にはなくてはならない分解者の役目』、
    『人間よりも100倍長い歴史を持った、生き物としての完成度の高さ』、
    『様々な生き物の餌になる事で、生き物の命を支える役目』
    などでござる」

蟻田 「ちなみに、ヨロイモグラゴキブリは、マニアから憧れの的でござる」

    「ペアで7万円くらいするからの」

齊藤 「7万円・・・」 ( ゚д゚)ポカーン

   「多くの人はゴキブリは嫌いですが、それだけの大金を出しても
    欲しい人は欲しいんですね」

蟻田 「さよう、みんながゴキブリを嫌いなわけではござらん」

齊藤 「とにかく、蟻田さんのお話を聞いて、今まで自分にそんな強い偏見が
    あるなんて気づきませんでした」

    「ゴキブリからこんなに学べるとは思いませんでした!」
 
    「ありがとうございます!」

蟻田 「では、この気持ちを忘れぬよう、お主にゴキブリ1年分をプレゼント!」

齊藤 「いりませぬ!」




【 作成者 】

  志縁塾 講師 齊藤 正明 (会議コンサルタント)

  大学卒業後、水産分野の研究開発に従事。

  その研究所は、所長の無理な指示で2割くらいの
  社員が会社を休む環境であった。 

  齊藤自身も、マグロの鮮度保持剤を開発している時、
  所長から、「お前は一度、マグロのすべてを知ってこい」
  と言われ、マグロの遠洋漁業に出され、その後、
  うつ状態で休職。

  個人の能力が発揮できるよう、対等な話し合いの場を
  作るため会議術(ファシリテーション)を学び、
  独自の方法を開発。

  現在、会議コンサルタントして活躍。

  趣味の昆虫採集と、コミュニケーション術を併せた
  コラム、東京京橋昆虫館物語を、ここに連載中。

  ファシリテーター齊藤正明の公式サイトは、
  ここから見られます。





【 近日行うセミナー 】

 志縁塾で、近日行うセミナーについて、ご紹介いたします。
 よろしければいらしてください。


 ①6月26日(木) 19:00~21:00 
  昆虫から学ぶ、人間関係をよくするコミュニケーションセミナーVol.3


 ②7月 9日(水) 19:00~21:00 
   会議術セミナー





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