第1回 31文字の小説家
「酔ってるの?あたしが誰かわかってる?」「ブーフーウーのウーじゃないかな」
これ、短歌なんです。
えっ、これが? と思いませんか??
これは、私の大好きな穂村弘さんの歌。
穂村さんは、「31文字の小説家」とも言われ、
短歌の世界でもひときわ目立つきらめきを放たれています。
その独特すぎるほどの世界観には、
読む側の想像力をかきたてられます。
短歌だけではなく、エッセイの面白さも秀逸です。 (『Linemarkers』穂村弘)
きらきらしているものへの憧れが、心の中にずっとありました。
中でも、一番好きだった雑誌や本というものが私にとっての最上級のきらめきで、どうにかその現場に近づきたいと思ったのが、このお仕事を志した最初のきっかけでもあります。穂村さんの短歌が大好きなのも、「短歌」という一見すると全然かわいくないものを、(むしろ学生時代に「短歌が好き」なんて言おうものなら、それだけで犯罪者のような視線を浴びることは確実…)ここまで輝かせてしまうことができる人がいるなんて! という感動から出てきた気持ちです。
そんな、私の大好きな穂村さんに、先日お会いしてきました。
編集者のお仕事の醍醐味は、やはり自分の会いたい人に会える(チャンスが多い)、ということに尽きるのではないでしょうか。自分次第で出会いの幅がどんどん広がっていくところを、私はとっても気に入っていて、一緒にお仕事をさせていただきたいなあ、と思っている方に持って行く企画書や手紙は何だかラブレターに近いような気さえしています。
実際の書籍編集のお仕事と言えば、すごくすごく地味なことの積み重ねで成り立っているので、よく言われているような「華やかさ」とはかけ離れているように感じたりもします。気分が悪くなるくらいに原稿はチェックするし、タイトルやオビのコピーひとつに何時間も何日も頭を悩ませるし、入稿前はただただひたすらデスクに貼りつけです。こんなお仕事をしていなければ、「どっちでもいいじゃん」と思うような、本当に細かなことで決めなくてはいけないことが山のようにでてきます。
それだけに、こうした出会いの喜びが倍増されていくのかもしれませんね。
最後に、『Linemarkers』より、もう一首。
相当、胸キュン!
「フレミングの左手の法則覚えてる?」「キスする前にまず手を握れ」


