第6回 モーニングコール

「僕、朝、苦手なんだ」
「じゃあ、わたしが毎朝、起こしてあげようか?」
「頼むよ」
たわいもない会話から始まったわたしのモーニングコール
6時30分に起きるとすぐにあなたに電話する
「起きた?」
「ありがと」
たったこれだけの会話が、もう一年も続いてる
ほんとは、わたし、ずっとあなたに片思いなの気づいてる?
きっと、恋人に昇格することは、ないんだろうなあ
彼女ができたら、モーニングコールも終わりだよね
30歳を過ぎて、こんな高校生みたいな恋愛してる
それでも、あなたとの声を毎日聞けるのが嬉しい
あなたにとって、わたしはいつまでもただの同僚で
彼女になれないことは、わかってる
「明日からモーニングコールいいよ」
って言われたら、きっと、わたしこう言うよ
「肩の荷が下りて良かった」
でも、もうしばらくは、わたしにモーニングコールさせてね

(商社 32歳 女性)

大谷 由里子
(1963年生まれ/奈良県出身)
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