石井憲司出会いの旅〜十勝平野・岡崎農場編〜

朝4時。
この時期の十勝平野の朝は20℃を下回り、肌寒く、遠くに見える十勝岳には霧が
かかっています。
まだ辺りが薄ぐらい時間から、牧場の仕事は始まります―


乳牛という生き物を相手にするこの仕事に、365日休みはありません。
牛も人間と同じで、毎日お腹が減るし、お乳がたまります。

だから、その世話を毎日しなくてはいけないのです。

その毎日の仕事はというと・・・

【午前4時~9時】
牛のエサやり、乳搾り

【午前9時~10時30分】
朝ごはん、休憩

【10時30分~13時】
エサやり、牛舎の掃除、エサ作り

【13時~15時】
昼ごはん、休憩(仮眠)

【15時~22時】
エサやり、乳搾り、お産のチェック(生まれそうならば、移動させ出産)
※牧場には妊娠している牛か、出産を済ませた牛、産まれた直後の子牛がいます。
だから一週間に数度、出産があります。
ちなみに、牛も人間と同じく十月十日で産まれます。

【22時~23時】
夕食、就寝

とこのようなスケジュールです。

かなりハードです。
僕は当然のように全身筋肉痛になりました(苦笑)

次は、お仕事の紹介。
一番大切な仕事、乳搾り。

まさに牛との闘い。
いかに素早く牛を絞る場所へと連れて行き、絞るかが勝負です。

でも、牛はのろのろと歩くもの。
なかなか、絞る場所へ行ってくれません。
声を上げてせかしたり、叩いたり、押したりします。
600kgの巨体を動かすのは大変です。

やっと動いたかと思ったら、何やら温かいものが顔にかかりました。

糞尿です。
(汚くてすみません。でも、臭いとか、汚いとか言っていたらはじまりません。
牧場はこれに囲まれているのですから)

僕が初心者だと知っているのか、厳しい洗礼を浴びせてきます。

こんなところで、負けてはいられません。

そして、やっと絞る場所へと連れてくると、今度はお乳をキレイに拭いて
絞ります。

牛にもクセモノはいます。
お乳を拭こうとすると、後ろ足で僕の手を蹴り上げてくるのです。

しかし、お乳をキレイに拭かないと、雑菌が入って商品になりません。

蹴られながらも何とか拭きあげます。

その後、やっと搾乳。

この作業を3~4人で3時間くらいかけて、150頭分行います。

僕は夏に行ったからよかったものの、十勝平野は冬-20℃を下回ることもあります。

そんな中、毎日休まず岡崎さん家族は仕事をしているのです。


岡崎牧場は、岡崎さん夫婦が経営しています。
息子さんもいるのですが、高校生で帯広に下宿しています。
土日は帰ってきて、牧場の手伝いをしています。
畜産大学に進学したいといっていました。
どでかいトラクターを運転したり、牛を引っ張る姿は、年下と思えないほど
頼もしかったです。(でも、免許持ってるのかな。。まっ私有地だからいいか)

こんな辛い仕事をしていても、みんな文句ひとつ言いません。

もくもくと仕事をこなします。
その中で僕にいろいろなことを教えてくれました。

「牛も人間と同じなんだよな。お腹は減るし、子どもも産まれる。
毎日、生きてる。だから毎日仕事をするんだよ」

「わりに合わない仕事だと思うよ。そんなたくさんお金が入るわけじゃないし」

お父さんはそう言っていました。でも、少しも辛そうじゃなく、笑顔で話してくれます。

「俺なんかが小さいときは、電気が通ってなかったからね。小学校の時だよ。電気がついたの。
たくさん貧乏したから、今は全然苦じゃないよ。それより、電気が通ってなかった時代から
今では、デジカメとか携帯の時代だもんね。これから世の中がどう変わっていくのかの方が楽しみだよ」

毎日過酷な仕事をしているのに、将来を楽しみに思っている。
何とも不思議でステキだなって感じました。

僕は来年、はたらくを楽しむ会社に入社するのですが、改めて働くについて
考えてしまいました。

就職活動で、

・やりたいことができる会社で働きたい
・こんな人と働きたい
・自分を成長させたい
・やりがいのある仕事がしたい

こんなことを考えながら動いていたわけですが、岡崎さん家族はそんなところとは
かけ離れたところにいるなぁって感じました。

何で働くとか、やりがいがあるとか、そんなものは岡崎牧場になかったような
気がします。
代わりに、「気持ちのいい諦め」がありました。

「だって牛が鳴くんだもん、しょうがないべや」

そんな感じ。

生きるために働いていて、働くために生きている。
そんな生活を365日全部ひっくるめて楽しんでる、そんな感じ。

働くって、大学生の僕が思っているような単純なものじゃありません。
まだよく理解していません。

そして、僕が短い牧場での仕事を終えて帰る時、

「いってらっしゃい」

と言って送り出してくれました。
その一言が何より嬉しかったです。

「いつでも帰ってきなさい」

北海道にも実家ができました。


広い大地に広い心を持った、岡崎さん家族に牧場の仕事以上のものを
学ばせてもらいました。


次は出会いの旅最終日、札幌にてキャッシュフローゲーム会です!

※上の写真はミルクを運んでる僕です(笑)
下の写真は、お世話になったお母さんと、住み込みで働いている長島さんです
お父さんが写真を撮ってくれました。

牧場.jpg


牧場2.jpg

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